抗生物質は風邪に効きますか?

医院でもらう薬で、抗生物質(抗生剤)っていうのがありますね。風邪の時に処方されることが多いですが、熱が高いのに処方されないこともあります。

抗生物質が発見され使われるようになって、多くの命が救われるようになりました。抗生物質の発見により、医療が劇的に変化したというのは間違いありません。先人の努力にただただ感謝です。

抗生物質を使うべき細菌感染症は、細菌性髄膜炎、細菌性肺炎、溶連菌感染症、百日咳、大腸菌などによる膀胱炎、とびひ、マイコプラズマ感染症(これは厳密には細菌感染症ではありませんが)などなど・・・・。しかし、いわゆる<風邪>は、ウイルスによるものがほとんどですから、それだけ考えれば、抗生物質は風邪には効かない、ということになります。

“細菌による風邪の可能性がわずかでもあるから”また、“肺炎になるのを予防したい” と言うふたつの理由で、“風邪といえば抗生物質”を飲んで来たと思います。 しかし、風邪のほとんどの原因であるウイルスに対して抗生物質は効きません。実際、「抗生物質を飲めば風邪が早く治る!」あるいは「抗生物質を飲んで、肺炎を予防した!」という確かなデータは世界中どこにもありません。

風邪を引いたとき、抗生物質を飲むと、どんな不都合があるのですか?副作用として、よく下痢が起こります。腸内細菌(お腹の中に100兆ほどいて、役立つ働きをしています)が死ぬために起こります。薬をやめると腸内細菌は元に戻るため、ほとんどの場合は心配はいりません。心配なのは、細菌の耐性化の方です。

どのような時に、抗生物質は飲んだ方がよいのですか?一番は肺炎になった時です。次は、溶連菌感染の時です。 肺炎はレントゲンで、溶連菌は迅速検査で診断できます。ひどい急性副鼻腔炎や扁桃周囲膿瘍、急性喉頭蓋炎、咽後膿瘍(あとの3つは稀な病気です)などの時も抗生物質を必要としますが、医師がちゃんと診断しますので心配いりません。

抗生物質の効能は、風邪が治すことではなく、抵抗力がなくなってしまっているからだを細菌から守るためなのですね。特に小さな子供や、高齢者は体力がないため、風邪が切っ掛けとなって抵抗力が低下してしまう可能性があると言われています。例え、風邪に効果がなくても他の感染症予防効果があるなら、抗生物質は飲んだ方がいいよね!と思うかもしれませんが、薬には必ず副作用が伴います。

抗生物質を服用することで、腸内の善玉菌に大きな影響を及ぼし腸内環境が悪化すると考えられています。下痢は、抗生物質の副作用で一番多くみられる症状のひとつです。